ミステリー好き大学教員の気ままなレビュー

とある私立大学のボンクラ大学教員がミステリーのレビューをメインに気ままに思ったことを書きなぐるブログです。

【読書レビュー】森博嗣/四季-夏-

 

四季 夏 (講談社文庫)

四季 夏 (講談社文庫)

 

 読めば読むほど森博嗣とは肌が合わないことを実感

ミステリィの金字塔 作家 森博嗣の8年間のすべてがここにある。
天才科学者、真賀田四季の謎が解かれる!?
幼くして世界を把握していた四季は、14歳で事件を起こし、29歳で失跡する。
天才の孤独はいやされるときがくるのか?
犀川創平は四季に近づくことができるのか。 

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【読書レビュー】森博嗣/四季-春-※ネタバレあり

 

四季 春 (講談社文庫)

四季 春 (講談社文庫)

 

森博嗣ファンには好評かもしれないが、新規顧客の獲得にはおそらく失敗か

『四季-春-』はミステリー部分が弱く、かつ四季の天才性の演出にも失敗しているように思える個人的には「つまらない」の一言に尽きる作品だ。

あらすじ

すべてがFになる (講談社文庫)』で登場した天才科学者真賀田四季の過去を紡ぐ森博嗣の人気シリーズ・S&Mシリーズの第一作目。

 

天才科学者・真賀田四季(まがたしき)。彼女は5歳になるまでに語学を、6歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。

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【映画レビュー】セント・オブ・ウーマン 夢の香り (字幕版) ※ネタバレあり

 

高校生と盲目の元軍人の精神的成長を描いたヒューマンドラマ

『セント・オブ・ウーマン 夢の香り (字幕版)』は、細部にまで気を配っている脚本、そしてラスト20分で訪れるフランクのスピーチが最高に素晴らしい現時点で今年ベストなヒューマンドラマだ。

 

あらすじ

感謝祭を目前に控えたある日、ボストンの全寮制名門校・ベアード校に通うチャーリー(クリス・オドネル)は、校長の車にいたずらを仕掛ける級友を目撃する。

 

愛車のジャガーを台無しにされ、怒り狂う校長(ジェームズ・レブホーン)は名門校の名を汚す行為だとして犯人探しに躍起になる。そこで、目撃者の一人であるチャーリーに犯人を正直に話せばハーバード大学への推薦状を書くが、犯人をかばえば退学処分にすると脅しをかけてくるのだ。

 

友人を裏切って自分の将来を確保するべきか、それとも友人を守り、自分の将来を閉ざすか。

 

週明けにはその回答をしなければならないという悩みを抱えるチャーリーだったが、故郷であるオレゴンに帰るための旅費を稼ぐためにアルバイトをすることになっていた。そのアルバイトで、盲目の退役軍人フランク(アル・パチーノ)の世話をすることになる。

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【映画レビュー】誘拐※ネタバレあり

 

今年度ワーストレベル

「最近洋画ばかり見ているから少し邦画でも見るか」と思い、Amazonでのレビューではかなり評価が良かったこちらの作品を鑑賞したが、ストーリーも役者の演技もイマイチで最後まで見るのが苦痛なWOWOWドラマだった。

 

 韓国との歴史的な日韓友好条約締結を目前に控えた警察は、北朝鮮によるテロを警戒し、職員の8割もの人員を韓国大統領の警護に充てるなど万全の体制を整えていた。

 しかし、その厳戒態勢の最中、現職総理大臣である佐山首相(石坂浩二)の孫娘(三吉彩花)が誘拐され、犯人から日韓友好条約締結の中止と30億円の身代金を要求される。

 犯人の秋月(三上博史)はいかにして30億もの大金を受け取るのか、それを追う星野(西島秀俊)は犯人を追いつめることができるのか。 

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【読書レビュー】すべてがFになる※ネタバレあり

 

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

 

 

 『すべてがFになる-THE PERFECT INSIDER-』は、アニメ化されているなど人気が伺える作品ではあるが、とんでもトリック系のがっかりミステリーだ。

 

愛知県・妃真加島(ひまかじま)にある真賀田研究所は、トップの真賀田四季博士を始め、優秀な研究者が集まる研究所である。


この真賀田研究所の所長である真賀田四季博士は、「人類の中でもっとも神に近い」と評される天才だったが、15年ほど1人で研究室に籠ったきり誰もその姿を直接観たことはなかった。

 

国立N大学で助教授をしている犀川創平は、研究室のメンバーや恩師の娘である西之園萌絵とともに、真賀田研究所に訪れていた*1

しかし、そこで手足が切断された真賀田四季と思われる死体が発見される…

 

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【映画レビュー】ア・フュー・グッドメン(字幕)※ネタバレあり

 

ア・フュー・グッドメン』は、軍人、弁護士、検察それぞれの高いプライドと信念がぶつかり合い1つの真実を紡ぎだして行く観賞後には爽快感が残る軍事法廷映画だ。

 

キューバの米軍基地で、落ちこぼれの海兵隊員が他の海兵隊員の不正を密告しようとしていた所、その不正を告発されそうになっていた海兵隊らに殺害されるという事件が発生した。

 

彼らの弁護士として任命されたダニエル・キャフィ(トム・クルーズ)は、この殺人事件が基地の総司令官ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)の命令によって行われたものであることを立証しようとする。

 

しかし、強大な権力をもつ大佐によって重要な証拠は全て隠匿されてしまう…

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【映画レビュー】インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実 (字幕版)

 

 映画『インサイドジョブ』は、いわゆるリーマンショック時に金融業界が何をしていたのかを理解するにはいいが、あまりにも制作者の意図に沿うように内容に偏りがあることを意識しなければならない問題作ではある。

 

そして、あまりにも「金融業界は悪だ!」ということを言いたいがために、他のプレイヤーが金融業界のいいなりのように描いてしまっている。特に、消費者を自分では何も考えられないマヌケとして暗黙のうちに描写してしまっているのが皮肉でもある。

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