二つの凄惨な殺人事件。
現場に残された指紋、現場付近での目的証言。
この二つから容疑者となった発達障害の男、クレマン。
幼いころにクレマンの面倒を見た元売春婦のマルトからの依頼でこの事件の真相に乗り出した元内務省調査員のルイは、クレマンが実は犯人ではないかと疑いながらも、真相に迫っていく。
最後まで犯人を絞らせず、面白い作品だった。
そこはかとなく漂う暗さもクレマンのとぼけたキャラクターによっていい具合に和らいでいると思う。
この本を読んでから知ったのだけれども、この本は三聖人シリーズと言われている作品の第三作目。なので、三聖人と言われている人のキャラクターが少しつかみにくかった。
もし、この本を読むのなら、先に『死者を起こせ (創元推理文庫)』 と『論理は右手に (創元推理文庫)』を読んでおいた 方が楽しめると思う。
実際、他の方のレビューを見てると、三聖人のやり取りがおもしろかったという感想が多かったが、僕はそこまで面白いとは思わなかった。きっと本作ではあまり描かれていない三聖人の特徴をつかんでいれば、もっと面白く読めたのだろう。