ミステリー好き大学教員の気ままなレビュー

とある私立大学のボンクラ大学教員がミステリーのレビューをメインに気ままに思ったことを書きなぐるブログです。

【映画レビュー】シャッター・アイランド (字幕版)※ネタバレあり

 

 

 『シャッターアイランド』は、全体的に暗い雰囲気が漂っているため、気軽に観れる映画というわけではないが、強いメッセージ性と二転三転するシナリオから目が離せない面白い映画だ。

 
この映画がamazonプライムビデオで0円で見れるとはいい時代になりました。
(正確には3900円、学生なら1900円のプライム会員年会費を払えばですが)
 

 物語の舞台はフェリーを使わなければたどり着くことのできない孤島、アシュクリフ。

そこには、厳重な警備の下、犯罪を犯した精神病患者を収容する病院が存在していた。レオナルド・デカプリオ扮する連邦保安官・テディ・ダニエルズは、その病院から失踪した女性患者を捜査するために相棒のチャックとともにその島での捜査を開始する。

そして、その捜査によってテディの過去に関係するある真実が明らかになろうとしていた…
 
この映画を見始めてすぐに、実はダニエルズ自身が精神病患者で、映画の内容はダニエルズの妄想に過ぎないのではないかという予測が頭によぎる。 
 
しかし、映画のシナリオはそう一筋縄ではいかない。
 
次々と起こる出来事によって、ダニエルは本当に優秀な保安官であり、Dr.コーリーらによる陰謀によって彼が精神病患者に仕立て上げられようとしているのではないかなどの疑問が次々と湧いてきて、最後のある一言まで真実がどうであったのかは分からない。
 
この最後のある一言によって、これまで僕たちの頭に生じてきた疑問が一気に解消するとともに、その一言を言ったダニエルズの心境を考えると悲しい気持ちにもなる。
 
このように、最後まで展開が読めないハラハラドキドキ感を提供してくれているという点で、この映画は一度は観る価値のある映画だと思う。
 
また、映画の中盤で
 
かつてはアシュクリフの精神病院で医師をしていたが、現在は精神病患者として収容されてしまっている女性とダニエルズ保安官の会話が精神病についての問題提起を行っていて面白い。
 
その現”患者”はこう言う
「私が狂っているように見える?」
-NOと答えるダニエル保安官-
「でも、そう言っても意味ないのよね。だって、精神科に行って、病気と診断されると否定すればするほどそう思われる。病気と思われたら何をしてもそのせいにされる。理にかなった抗議は否認で、恐怖は被害妄想。用心してね。過去のトラウマが正気を失う要因とされる。」
 
この部分は精神病の診断の怖さを語っている。トラウマと言われそうな要因なら誰にでも一つはある。少しでもおかしな行動をとっていると、このトラウマのせいで狂ったのだと診断されかねないのだ。
 
人は誰しも他の人とは違う一面を持っている。
それがトラウマのせいにされてしまえば、精神病患者の出来上がり
 
というのは非常に怖いことだと思う。そうした問題についてもそれとなく触れているという点で面白いだけの映画とは一味も二味も深みのある映画だと思う。