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ミステリー好き大学教員の気ままなレビュー

とある私立大学のボンクラ大学教員がミステリーのレビューをメインに気ままに思ったことを書きなぐるブログです。

【読書レビュー】森博嗣/四季-春-※ネタバレあり

 

四季 春 (講談社文庫)

四季 春 (講談社文庫)

 

森博嗣ファンには好評かもしれないが、新規顧客の獲得にはおそらく失敗か

『四季-春-』はミステリー部分が弱く、かつ四季の天才性の演出にも失敗しているように思える個人的には「つまらない」の一言に尽きる作品だ。

あらすじ

すべてがFになる (講談社文庫)』で登場した天才科学者真賀田四季の過去を紡ぐ森博嗣の人気シリーズ・S&Mシリーズの第一作目。

 

天才科学者・真賀田四季(まがたしき)。彼女は5歳になるまでに語学を、6歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。

 

叙述トリックで良い部分があるも、四季の発言には疑問 ※以下ネタバレ注意

 とamazonの内容紹介にも書いてあるように、本作は殺人事件とその解決に焦点を当てているというよりも、むしろ四季の過去を描くことに焦点を当てているといった印象のミステリー小説だ。

 

一応、ミステリー小説の形をとっていはいるが、その肝心のミステリー部分が弱いように思える。

 

殺人事件が生じ、主人公である真賀田四季は、「部屋のカギを閉めると周囲に犯行が早く気付かれるにもかかわらず、殺人現場のカギが閉まっていた」というたった一つの事実から物語のそうそうに「犯人は分かった」という話をしている。

 

しかしながら、物語終盤の謎解きを読んでいると、その事実からは犯人とは別のある人物がその現場に居合わせたことまでは分かるという議論になってしまっており、「結局、それじゃあ犯人はわからへんやんけ」とついつい関西弁でつっこみたくなってしまう。

 

唯一あっと言わされたのは、物語のいわば叙述トリックとも言うべきものか。同一人物だと思っていのが別人だったり、別人だと思っていがの同一人物であったり。

 

そうした部分は確かに「やるなぁ」と思わされたけど、物語全体を覆う「天才を描きたかったのかもしれないけど、失敗してないか?」という疑問を拭い去ることができず、退屈の限りだった。

 

真賀田四季のファンには良いのかもしれないが、そうでない人にはおすすめは絶対にできないキワモノだ。