ミステリー好き大学教員の気ままなレビュー

とある私立大学のボンクラ大学教員がミステリーのレビューをメインに気ままに思ったことを書きなぐるブログです。

【映画レビュー】ア・フュー・グッドメン(字幕)※ネタバレあり

 

ア・フュー・グッドメン』は、軍人、弁護士、検察それぞれの高いプライドと信念がぶつかり合い1つの真実を紡ぎだして行く観賞後には爽快感が残る軍事法廷映画だ。

 

キューバの米軍基地で、落ちこぼれの海兵隊員が他の海兵隊員の不正を密告しようとしていた所、その不正を告発されそうになっていた海兵隊らに殺害されるという事件が発生した。

 

彼らの弁護士として任命されたダニエル・キャフィ(トム・クルーズ)は、この殺人事件が基地の総司令官ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)の命令によって行われたものであることを立証しようとする。

 

しかし、強大な権力をもつ大佐によって重要な証拠は全て隠匿されてしまう…

 

※ネタバレ注意

 この映画の見所は、登場人物一人一人に彼ら(彼女ら)なりの信念とプライドがしっかりとあるという点だ。

 

通常の命令系統を無視して、基地外部の人間に不正を告発しようとした落ちこぼれ隊員に制裁を命令した大佐は、国を守るためには規律を乱す人間をしっかりと教育して国を守るに足る人材に育てるという使命を感じている。

(結果として、”教育”が行き過ぎて死に至らせてしまったが…)

 

また、制裁の実行犯になってしまった2人の海兵隊にも、そうした軍隊の中で規律を守ることが自らのアイデンティティとなっているため、上官の命令を間違いなく遂行しようとする。たとえ、それが世間一般的には間違った命令であったとしても、それを命令に忠実であることが彼らなりのプライドなのだ。

 

弁護士や検事も、自らの職務を全うすべく被告人を弁護するためやその罪を追求するために、正当な手段をもって互いの議論を戦わせる。

 

こうした一人一人のプライドがぶつかり合う様は、観ていて非常に清々しい。

 

そして、証拠を隠滅されてしまった弁護士役のトム・クルーズが被告人は大佐から与えられた任務を遂行しただけだということを示すために、大佐のプライドを利用して自白を引き出すシーンがラストに待ち構えているが、これも大佐が国防に対するプライドを持っていなければ成立しえないものだ。

 

もちろん、こうしたプライドのぶつかりあいだけでなく、法廷ものの醍醐味である証拠の提示とそれへの反論の場面も「うわ、これはキツい証拠だぞ」と思ったり、「なるほど!そう反論するか!」と非常にドキドキさせられ、面白いものになっている。

 

もし、このレビューを読んで映画を観るという人がいれば、「ある命令が下った人間はどんなことをしているべきなのか」といったことを想像しながら見るとより面白みが増すかもしれないので、オススメである。